民事信託の活用事例 EXAMPLE ご希望に合わせた資産管理計画づくり

会社を継承させたいが後継者に不安がある ー会社の円滑な承継を託すー

隠居して後継者に事業を任せたいが不安がある、という場合は主要財産を後継者に信託することで
実質的に「隠居」しつつも必要なときには信託契約を解除し、旧態に戻すことができます。

会社の後継者問題についてこんなお悩みはございませんか?

お悩み①
会社の財産承継にあたって、贈与や売買では多額の税金や購入資金が必要と言われた。
お悩み②
跡継ぎ候補に不安があり、安心して隠居できるか心配。
お悩み③
将来的に会社の後継者がいなくなった場合にも親族の中から後継者を選べるようにしておきたい。

民事信託の中には主要財産を信託することによって実質的に隠居することができる「疑似隠居信託」というものがあります。
通常の方法で隠居を実現するとなると直ちに多額の税金等の金銭的負担が発生しますが、民事信託の「条件付贈与機能」を活用することで
課税のタイミングをずらすなどによりスムーズな隠居が可能となります。また、後継者に不安が生じた場合には再度自身を経営者に戻すことも可能です。

解決①
贈与税などの出費を回避しつつ実質的に経営を後継者に任せることができます。
解決②
自分が経営者に復帰できる余地を残しておくことで後継者選びに過ちが起きにくくなります。

具体例

X株式会社(以下、X社)の経営者Aさんは、65歳になった時点で隠居して、長男のBさんに会社の全ての財産を承継させようと考えました。
ところが贈与や売買により、財産を承継させるには、多額の税金や購入資金が必要となることがわかりました。
さらにAさんはBさんの経営能力に不安があり、完全に隠居してしまうことには懸念があります。
また、AさんにはBさんの他にも、会社に関係のない長女Cさんがおり、彼女には会社の株式を相続させるのではなく一定額の金銭を取得させたいと思っています。
またBさんは独身で子がいないので、将来的に会社の後継者がいなくなった場合にはCさんの孫たちの中の一人を後継者にしたいとAさんは考えています。
一方Aさんの総資産の時価が相当額あり、X社の株式と自宅不動産をBさんに相続させた場合、Cさんに渡すべき現金が不足する可能性が出てくると思われます。

こうした場合、

  1. ①Aさん個人名義のX社株式と自宅不動産を、委託者兼当初受益者Aさん、受託者Bさんとする信託契約によってBさん名義に移転します。
  2. ②Aさんは必要に応じて受益者としての権限を行使して受託者Bさんに対して信託財産運用についての指図をしたり、場合によっては信託契約を解除できる契約内容とします。
  3. ③Aさんの相続時にCさんとDさんに相続させるべき財産や納税資金などで現金が不足するリスクを考慮して、X社でAさんを被保険者とする生命保険に加入し、
    相続時に保険金が入る準備を併せて行っておきます。
  4. ④Aさんは遺言を書き、Cさんに現金預金の一部を相続させるとしたうえで、株式および自宅不動産をBさんに相続させた理由を付言事項を利用して書き残し、
    Cさんの心情にも十分配慮を行ないます。

このような形でBさんに主要財産を信託することによって実質的に隠居を実現できます。
信託時点で掛かる費用は登録免許税と手続費用のみで、実際の課税は相続時になります。
将来後継者に不安が生じた場合でも、信託契約を解除することでいつでも経営に復帰することができます。
さらに遺言によってCさんの相続時における不満を軽減し、生命保険加入で相続時の現金不足の心配が解消されます。

信託契約時 図解画像 相続開始後 図解画像